戦争法施行という重大な事態にあたりすべての損保関係者に呼びかけます
1.安倍政権が強行した安全保障法制=戦争法は、集団的自衛権の発動を前提にした米軍と自衛隊の共同訓練や、PKO(平和維持活動)に従事する自衛隊の「駆けつけ警護」「共同防衛」等新任務の付与・武器使用拡大など、いま全面的な運用の段階に入ろうとしています。特に、政府軍と反政府軍の内戦が激化している南スーダンPKOは、自衛隊派兵の前提となる停戦合意など「PKO参加5原則」が崩れており、自衛隊が新たな任務のもと活動を行えば、戦後日本において初めて「殺し殺される」重大な事態を招く恐れがあります。
2.PKO保険は、PKOに従事する自衛隊員むけの海外旅行傷害保険です。普通保険約款では「免責」とされている「戦争、外国の武力行使、革命、政権奪取、内乱、武装反乱、その他類似の事変・暴動によって生じた傷害」を「特約」により補償しています。この保険は1992年、自衛隊が初めてカンボジアPKO(停戦監視活動等)に派遣されるのを契機に一部損保会社が発売し今日に至っていますが、当該自衛隊派遣には「PKO参加5原則」があり、派遣地域は戦闘地域ではなく、自衛隊員の任務も限定的、との前提で取り扱われてきました。私たち損保9条の会は、現行のPKO保険の販売自体にも問題意識を持ってきました。上記PKOを巡る事態の根本的な変化に対してPKO保険を販売し続けることにはいっそう強い危機感を持たざるを得ません。
3.損保産業は、第二次世界大戦・太平洋戦争のさ中に、戦争に国民を総動員する目的で国策としての「戦争保険」の販売に協力・加担した歴史があります。戦災により国民や企業の資産が焼失し、保険金支払の打ち切り等保険機能の停止や、損保会社・産業の破たんを招くという惨憺たる結末を迎えました。そのため、損保産業の先輩たちは「国策として保険産業を二度と破たんさせてはならない」との決意のもと戦後復興に立ち上がり、私たちもまたその意思を受け継ぎ、戦争のない平和で豊かな社会を願い、国民の命と暮らし、経済活動を支えるという損保産業の社会的役割・補償機能の発揮のために奮闘してきました。
私たち損保9条の会は、安倍政権に対し、いますぐ南スーダンから自衛隊を撤退させるよう強く求めるとともに、「損害保険を再び戦争動員させない」、集団的自衛権の発動を許さず、戦争法廃止のため運動を多様に広げ行動することを呼びかけます。
2016年11月5日 損保9条の会